新着情報

2025年11月04日

　目の前の道路が上向きに続いている。人が砂漠を強引に開拓した名残とも呼べる光景だ。

　まだ夏の日差しが厳しい９月中旬、私はロスアンジェルスからラスベガスに向け、車を走らせていた。

　ラスベガスの誕生は1905年5月15日とされている。北はスチュワート通り、南はガルセス通り、西はメインストリート、東は5thストリートに囲まれた110エーカーの土地が、鉄道会社によって2日間の競売にかけられた。そして、南カリフォルニアとユタ州のソルトレイクシティーを結ぶサンペドロ・ロスアンジェルス・アンド・ソルトレイク鉄道の開通により、ラスベガスは鉄道の町として確立される。水資源の豊富さが、当地を理想的な給水・休憩地とした。1905年1月にはJ・T・マクウィリアムズが2つ目の町区画を売り出す。この場所は線路の西側に位置し、現在は「歴史的ウエストサイド」として知られる地域となっている。4年後の1909年、ラスベガスは郡庁所在地になった。

　ネバダ州は1910年に賭博を禁じたものの、違法カジノが存続した。1931年にギャンブルが再び合法化された頃に、組織犯罪は街にしっかりと根付いていた。住民も当地における最大の資産はカジノだと認識せざるを得なかった。博打や売春といった西部開拓時代の自由を受け入れた結果、東海岸の組織犯罪にとって格好の場所となったのだ。1940年代以降、麻薬や組織犯罪で得た資金がカジノに流れ込み、カネの洗浄が行われた。

1989年、ラスベガス初のメガリゾート、ミラージュがオープンする。その後20年間で、ストリップ通りは目まぐるしく景観が変わる。古くなったホテル＆カジノは壊され、エジプト、ファンタジーのお城、ニューヨーク、ヴェネツィア、パリといった多種多様な建築物が一貫性なく立ち並ぶ。その無秩序さもまた、ラスベガスの特性だ。

　カジノとエンターテイメントはラスベガスの主要な雇用源であり、英語を話せない労働者を見かけることも珍しくない。リゾートの規模と年間訪問者数の増加に伴い、街は成長した。リーマンショックに見舞われた2008年は、不況、失業率の上昇、住宅価格の暴落といった問題に直面したが、4,000万人近くの観光客が足を運んだ。

　人を魅了する街には、もちろん車が欠かせない。JBCにとって有益な情報が得られるかもしれない。そう思ってラスベガスを訪ねた。（つづく）

林　壮一　ジェイビーシー（株）広報部 / ノンフィクション作家